子供の親権をめぐる問題について
1.子の連れ去りが犯罪になり得る可能性について
近年外国で家庭を築かれている日本人の方が増加していますが、他方不幸にして結婚生活が破綻した場合に、一方の親が他方の親に無断で子供を国外に連れ出すことが問題となる事例が多くなっています。フィジーにおいても、父母いずれもが親権を有する場合に、一方の親の同意を得ることなく他方の親が子の居所を移動させること(国内の移動、国外への移動)は誘拐罪の対象となっています。従ってフィジーに住んでいる日本人の親(婚姻関係にない場合も含む)が、他方の親(パートナー)の同意を得ないで子を日本に一方的に連れて帰ると、たとえ実の親であってもフィジーの国内法違反となり、再びフィジーに戻ってきた際に犯罪被疑者として逮捕される場合もありますので注意が必要です。
2.未成年の子供の旅券申請について
日本の在外公館では、旅券法に基づき未成年の子どもの旅券や帰国のための渡航書の申請を受ける場合、両親のいずれか一方に各申請書の「法定代理人署名」欄に署名していただくことになっていますが、それは、通常一方の親の署名をもってもう一方の親も子どもの旅券等の発給申請に同意していると推定されるからです。しかしながら、親権者である片方の親から旅券等の発給に同意しない旨の意思表示がされた場合には、そのような推定は働かず、有効な両親の同意が存在しないことになるので、その子どもへの旅券等の発給はできないことになります。
したがって、両親のいずれかから旅券等の発給についてあらかじめ不同意の意思表示がなされていた場合にあっては、旅券等の発給に反対する親がその子どもの親権者であるかどうか、すなわち、子どもの旅券等の発給にその親の同意が必要か否かを確認し、親権者であることが確認されたときは、さらに両親の意向を確認し、旅券等を発給するかどうか決定することになります。そのような意向確認が必要となる場合には、基本的に、旅券等の申請の際に、不同意の意思表示を行った側の親が作成(自署)した「旅券(帰国のための渡航書)申請同意書」(形式自由)を用意いただくこととなりますので、ご注意ください。
3.なお、親権に関わる具体的な問題をお持ちの方は、弁護士などの専門家にご相談されることをお薦めいたします。
在フィジー日本国大使館
電話 :(679)330-4633
FAX :(679)330-2984
E-mail:ryoji.fiji@mofa.go.jp
担当:今井 小野澤